でっちあげ実話の犯人は誰?現在・その後と映画の結末をネタバレ解説
| 作品名 | でっちあげ ~殺人教師と呼ばれた男(2025年6月27日公開/監督:三池崇史/原作:福田ますみ『でっちあげ 福岡「殺人教師」事件の真相』) |
|---|---|
| 犯人・黒幕 | 映画:氷室律子(柴咲コウ) 実話:律子にあたるのは児童の母親(原作での仮名は浅川和子。実名は非公表) |
| 動機 | 映画:息子・拓翔のとっさの嘘が発端として描かれる。律子本人は動機を語らない 実話:裁判でも動機は認定されていない |
| 凶器・手口 | 学校への抗議と謝罪要求 → 新聞・週刊誌での報道 → 約550人の弁護団による民事訴訟 |
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映画「でっちあげ ~殺人教師と呼ばれた男」で体罰事件をでっちあげた犯人は、児童の母親・氷室律子(柴咲コウ)です。モデルになった実話でも告発したのは児童の母親で、訴えの大半は裁判で退けられ、教諭の停職処分は2013年に取り消されています。
答えだけ先に
・映画で体罰事件をでっちあげたのは、児童の母親・氷室律子
・実話で律子にあたるのは児童の母親(原作の仮名は浅川和子。実名は公表されていない)
・実話の裁判は民事。福岡市に330万円の賠償が命じられた一方、差別発言・自殺強要・PTSDの訴えは退けられた
・2013年1月、福岡市人事委員会が教諭の停職6か月の処分を取り消した
・母親側の現在は公表されていない。教諭は2006年に別の小学校で復職している
「でっちあげ ~殺人教師と呼ばれた男」は、2025年6月27日に公開された三池崇史監督の映画です。原作は福田ますみさんのルポルタージュ『でっちあげ 福岡「殺人教師」事件の真相』(新潮文庫)。2003年に福岡市で起き、教育委員会が全国で初めて「教師によるいじめ」を認定した事件を追った一冊で、第6回新潮ドキュメント賞を受賞しています。教師の薮下誠一を綾野剛さん、告発する母親の氷室律子を柴咲コウさん、実名報道に踏み切る週刊誌記者の鳴海三千彦を亀梨和也さんが演じました(参考:映画『でっちあげ ~殺人教師と呼ばれた男』公式サイト)。
前半で薮下を最悪の教師だと信じ込み、後半でその自分に青ざめる。答えを知った今なら、律子の表情のひとつひとつが違って見えてきます。U-NEXTなら「でっちあげ」をトライアルのポイントで、最初の家庭訪問から確かめられます(レンタル作品)。
映画でっちあげの犯人は誰?

体罰事件をでっちあげたのは、児童・氷室拓翔の母親である氷室律子(柴咲コウ)です。
映画は法廷で律子が宣誓する場面から始まり、前半は「氷室律子の供述」として進みます。雨の夜に家庭訪問へやってきた薮下誠一(綾野剛)が、拓翔の髪の色や「アメリカ人の血」について差別的な言葉を並べ、翌日から「10カウント」と称する体罰を始めた、という内容です。鼻をつまんで振り回す「ピノキオ」、耳を引っ張り上げる「うさぎ」、帰り道での自殺の強要。この時点では、薮下を信じる材料がひとつも出てきません。
ところが法廷で請求への認否を問われた薮下は、読み上げられた内容に真実はひとつもないと言い切ります。映画公式サイトのストーリーにも、薮下が「すべて事実無根の”でっちあげ”」だと完全否認することが書かれています。ここでタイトルが出て、同じ家庭訪問が今度は「薮下誠一の供述」として描き直されます。
薮下の供述では、日程を変更したはずの律子から、約束は今日の17時だったはずだという電話があり、その夜のうちに来るよう求められています。祖父がアメリカ人だという話も、小学校までボストンで暮らしたという経歴も、切り出したのは律子のほうでした。薮下が返したのは、目鼻立ちがはっきりしているのはそのためか、という相づちでした。
決定打になるのは、終盤にある律子への当事者尋問です。薮下の代理人・湯上谷年雄(小林薫)が律子の戸籍謄本を示し、祖父は日本人であること、律子自身も県内の学校に通い、海外へ渡った記録がないことを指摘します。差別発言の前提だった「アメリカ人の祖父」が崩れ、体罰やPTSDについての証言も信用できないという流れになっていきます。
ただ、映画が描いているのは律子ひとりの嘘ではありません。訴えを確かめないまま大きくしていった人たちが、何人も登場します。
| 人物(俳優) | 劇中でしたこと |
|---|---|
| 氷室律子(柴咲コウ) | 経歴を偽ったまま、差別発言・体罰・自殺強要を学校と週刊誌に訴える |
| 氷室拓翔(三浦綺羅) | 忘れ物を問い詰められ、とっさに先生のせいにする |
| 校長の段田重春(光石研)、教頭の都築敏明(大倉孝二) | 事実を確かめないまま、場を収めるために薮下へ謝罪を求める |
| 教育長の藤野公代(峯村リエ) | 薮下に停職6か月を言い渡す |
| 記者の鳴海三千彦(亀梨和也) | 律子側の話をもとに、実名と目線入りの顔写真つきで「殺人教師」と報じる |
| 医師の前村義文(小澤征悦) | 母親が代わりに答えた面談の結果で、重度のPTSDと診断する |
| 弁護士の大和紀夫(北村一輝) | 550人の弁護団を率いて、5800万円の損害賠償を求める |
でっちあげは実話?実話の犯人にあたる人物は誰か
「でっちあげ」は実話をもとにした映画です。映画公式サイトも、日本で初めて教師による児童へのいじめが認定された体罰事件を描いた作品だと紹介しています。もとになったのは、2003年に福岡市の市立小学校で起きた出来事でした。
実話で律子にあたる人物は児童の母親で、原作では「浅川和子」という仮名で書かれています。教諭は「川上譲」、児童は「浅川裕二」で、新潮社公式サイトに掲載されている著者の文章でも、いずれも仮名だと明記されています。原作も映画も当事者を仮名にしているため、ここでも映画の役名と原作の仮名だけを使います。
| 映画の役名(俳優) | 原作での表記 | 実際の立場 |
|---|---|---|
| 薮下誠一(綾野剛) | 川上譲(仮名) | 小学4年生のクラスを担任していた男性教諭 |
| 氷室律子(柴咲コウ) | 浅川和子(仮名) | 児童の母親 |
| 氷室拓馬(迫田孝也) | 浅川卓二(仮名) | 児童の父親 |
| 氷室拓翔(三浦綺羅) | 浅川裕二(仮名) | 当時9歳の男子児童 |
| 鳴海三千彦(亀梨和也)と週刊春報 | 週刊誌の記者 | 教諭の実名と顔写真を載せた週刊文春 |
| 湯上谷年雄(小林薫) | 教諭の代理人弁護士 | 2004年1月に就いた2人の弁護士 |
| 大和紀夫(北村一輝) | 児童側の代理人弁護士 | 約550人の弁護団の中心になった弁護士 |
| 向井市の希望ヶ丘小学校 | 福岡市のA小学校 | 福岡市の市立小学校 |
ひとつ注意したいのが「犯人」という言葉です。この事件は刑事事件ではなく、損害賠償を求める民事訴訟でした。誰かが逮捕されたり、有罪になったりしたわけではありません。母親の訴えのどこまでが認められ、どこからが退けられたのかは、次の時系列で整理します。
でっちあげの実話を時系列で整理|2003年から処分取り消しまで
新潮社公式サイトに載っている福田ますみさんの後日談と、当時の新聞報道などをもとにした大まかな流れです。
| 時期 | 出来事 |
|---|---|
| 2003年5月12日 | 教諭が児童の家を家庭訪問。夜8時ごろから10時半ごろまで母親と面談する |
| 2003年5月30日 | 両親が学校に最初の抗議。家庭訪問での差別発言と、翌日からの体罰を訴える |
| 2003年6月 | 教諭が両親に謝罪。保護者向けの懇談会が開かれ、担任を外れる |
| 2003年6月27日 | 朝日新聞(西部本社版)が「小学校教諭が小4児童をいじめ」と報じる |
| 2003年8月22日 | 福岡市教育委員会が「教師によるいじめ」と認定し、停職6か月の懲戒処分を出す |
| 2003年10月2日 | 週刊文春が教諭の実名と顔写真を載せ、「殺人教師」と報じる |
| 2003年10月8日 | 児童と両親が、福岡市と教諭に損害賠償を求めて提訴。請求額は約1300万円で、のちに約5800万円へ。弁護団は約550人 |
| 2003年10月10日 | 教諭が福岡市人事委員会に、処分の取り消しを求めて審査請求 |
| 2006年4月 | 教諭が別の小学校で教職に復帰 |
| 2006年7月28日 | 福岡地裁の判決。福岡市に220万円の賠償を命じ、教諭個人への請求は棄却 |
| 2007年3月5日 | 児童側が教諭に対する控訴を取り下げ。争う相手は福岡市だけになる |
| 2008年11月25日 | 福岡高裁の判決。賠償額は330万円に。双方とも上告せず確定 |
| 2013年1月17日 | 福岡市人事委員会が、停職6か月の懲戒処分をすべて取り消す |
家庭訪問から最初の抗議までは、18日あいています。映画では抗議が「3週間後」と描かれていて、おおむね実話に沿っています。
2013年1月17日、福岡市人事委員会は教諭に対する停職6か月の懲戒処分をすべて取り消しました。市の教育委員会は裁決を受け入れ、再審請求はしないと表明しています。処分が出てから、9年あまりが過ぎていました。
裁判で認められたこと・退けられたこと
母親側の訴えがすべて通ったわけでも、裁判所がすべてを嘘だと断じたわけでもありません。2008年の福岡高裁判決と、その約4年後に出た人事委員会の裁決とでは、判断が分かれています。確定判決の内容と、裁決を伝えた報道や福田さんの記事をもとに整理しました。
| 訴えの内容 | 福岡高裁の判決(2008年) | 福岡市人事委員会の裁決(2013年) |
|---|---|---|
| 家庭訪問で「血が混じっている」と言った | 判断せず(福岡市が争わなかった) | 発言はあった。ただし、顔立ちへの相づちだったという教諭の説明は自然で信用できる |
| 家庭訪問で「血が穢れている」などと差別発言をした | 認めず | 母親の説明は「虚偽というべき」 |
| 「10カウント」に伴う体罰をした | 数回あったと判決に記載。福岡市が争わなかった部分で、証拠による検証はされていない | 認めず。10カウントは教育的な指導 |
| 体罰でけがをした | 認めず | 認めず |
| ゲーム中などに「アメリカ人」「髪が赤い」と言った | 判決に記載(同じく福岡市が争わなかった部分) | 認めず。児童への聞き取りは質問があいまいで、裏付けにならない |
| ランドセルをゴミ箱に入れた | 落ちていたランドセルを拾い、取りに来るよう呼びかけたうえでゴミ箱に捨てたと認定 | 指導の目的で入れた。ただし行き過ぎ |
| 自殺を強要した | 認めず | 審査の対象外(懲戒処分の理由に入っていない) |
| 児童がPTSDを発症した | 認めず(通院治療が必要になったことは認定) | 審査の対象外 |
| 結論 | 福岡市に330万円の賠償を命令。教諭個人への請求は一審で棄却され、控訴の取り下げで確定 | 停職6か月の懲戒処分をすべて取り消し |
高裁判決に残った体罰や発言は、すでに懲戒処分を出していた福岡市が、裁判で争わなかった部分です。福田さんは、このため証拠による検証がされないまま判決の前提になったと説明しています。一方で児童側の代理人弁護士は、裁判所が認定した事実があるのになぜこの結論になるのか理解できない、という趣旨のコメントを新聞に寄せたと伝えられています。
民事裁判では福岡市の賠償責任が一部認められたまま確定し、そのあと行政の手続きで教諭の処分が丸ごと取り消されました。決着は二段構えです。高裁は訴えの大半を信用し難いとして退け、人事委員会は残った部分についても、いじめや体罰とは認めませんでした。ただ、確定した判決そのものが取り消されたわけではありません。この2つは分けて読んでおくと混乱しません。
でっちあげ実話の犯人の現在・その後はどうなった?
母親をはじめ、児童側の家族の現在は公表されていません。
福田さんの後日談から分かるのは、高裁判決が確定した直後までです。児童は県外の私立中学に進み、2009年2月の時点で中学3年生でした。それ以降の進路や家族の暮らしについては、新潮社公式サイトの後日談にも書かれていません。映画のラストも、氷室家がその後どうなったのかはわからない、という趣旨の薮下の独白で終わっています。
実名や現在の居場所を知りたいという声は多いようですが、公表された情報はありません。裏付けのない書き込みは無関係の人を巻き込むおそれもあるため、取り上げません。
あわせて、よく見かける説明を2つ訂正しておきます。
・「両親が賠償金の支払いを命じられた」→ 裁判で支払いを命じられたのは福岡市です。両親側が賠償を命じられたという事実は確認できません
・「教諭は教壇に戻れなかった」→ 一審判決より前の2006年4月に、別の小学校で教職に復帰しています
教諭の側は、公表されている範囲でもう少し分かっています。2003年8月に停職6か月の処分を受けたあと、2006年4月に別の小学校で復職しました。2013年1月に処分の取り消しを知ったときには、10年間の苦しみにふれつつ、ようやく言い分が全面的に認められたと福田さんに語っています(要旨)。現在の勤務先や暮らしは公表されていません。事件当時は40代半ばと報じられていて、年齢から考えると、すでに定年の年齢を過ぎているとみられます。
| 当事者 | 公表されている「その後」 |
|---|---|
| 教諭(映画の薮下) | 2006年4月に別の小学校で復職。2013年1月17日に停職処分がすべて取り消される。現在は非公表 |
| 母親と父親(映画の律子と拓馬) | 2008年の高裁判決が確定したあと、本人の発信や公表された情報は見当たらない |
| 児童(映画の拓翔) | 県外の私立中学に進学し、2009年2月時点で中学3年生。以降は非公表 |
| 学校と福岡市教育委員会 | 人事委員会の裁決を受け入れ、再審請求はせず。当時の担当者の処分は考えていないと回答(福田さんの取材による) |
| 児童側の弁護団 | 代理人弁護士が、人事委員会の裁決は理解できないとコメント(新聞報道による) |
| 週刊誌 | 実名報道について訂正や謝罪が出たという情報は、福田さんの後日談や当時の報道の範囲では確認できていない |
でっちあげの犯人・律子の嘘につながる伏線を整理
映画に話を戻して、律子の嘘につながる描写を劇中の流れに沿って拾いました。数字はセリフの要旨です。
| 伏線・描写 | 最終的に分かること |
|---|---|
| 冒頭の家庭訪問に「氷室律子の供述」というテロップが付く | 映像は律子の主張を再現したもの。後半の「薮下誠一の供述」で、同じ夜が別の姿で描き直される |
| 律子の供述では、薮下は夜遅くに横柄な態度で上がり込む | 薮下の供述では、律子が電話で約束は今日だったと主張し、その夜のうちに来るよう求めていた |
| 律子が語る「祖父はアメリカ人」「小学校までボストン」「通訳と翻訳の仕事」 | 戸籍謄本で祖父は日本人と分かる。県内の学校に通い、海外へ渡った記録もないと指摘される |
| 体罰は計18回と訴えるが、日時や場所が出てこない | 目撃証言も診断書も示されないまま。湯上谷が法廷で挙げる1つ目の点になる |
| 児童アンケートで「体罰を見聞きした」が8割以上 | 薮下が児童の前で謝罪したあとに行われたもの。校長自身は体罰を見ていなかった |
| 拓翔が重度のPTSDと診断され、検査の点数は119点 | 面談では律子が拓翔の代わりに答えていた。入院186日のうち106日は外泊だった |
| 監視役の教員・戸川の前で、拓翔が薮下に手を振って帰っていく | 戸川自身が、監視の必要があるのかと口にする |
| 懇談会で同級生の母・山添夏美が、体罰は信じられないと発言する | のちに夏美が、知人が律子の同級生だったと薮下に伝え、経歴の嘘が崩れるきっかけになる |
| 終盤の回想で、忘れ物を問い詰められた拓翔が、先生に捨てられたと答える | 発端は子どものとっさの一言だったことが示される |
湯上谷は律子への尋問のあと、主張を3つに絞って述べています。体罰には日時や場所の特定も目撃証言もないこと。PTSDの症状は母親の話を通してしか現れていないこと。そして「穢れた血」という言葉で息子が苦しんでいたのなら、祖父が日本人だと知っている律子はなぜ本当のことを伝えなかったのか、という点です。嘘をつく必要のない経歴で真実を語っていない以上、体罰やPTSDの訴えも信用できない。これが湯上谷の組み立てでした。
律子が事件をでっちあげた動機
映画は、律子本人に動機を語らせません。法廷で戸籍を示されても、律子は祖父がアメリカ人だと言ったこと自体を否定します。そのかわりに置かれているのが、2つの短い回想です。
ひとつは拓翔の嘘です。忘れ物をして帰ってきた拓翔は、律子に強く問い詰められ、とっさに薮下先生に捨てられたと答えてしまいます。その直後に、雨の中を薮下が家庭訪問にやってくる場面が続きます。
もうひとつは律子の少女時代です。古い団地で、帰ってこない母親を待つ小学生の律子。中学では、流暢な英語でスピーチをする帰国子女の同級生をじっと見つめています。
この2つを並べると、「アメリカ人の祖父」「ボストン育ち」という経歴は、かつて憧れた同級生の姿を自分に重ねたものと読めます。そこへ息子の一言が加わり、担任への不信が一気にふくらんだ、と私は受け取りました。ただし劇中で理由が明言されることはなく、ここは解釈の域を出ません。
実話のほうも同じで、母親がなぜ訴えたのかは裁判で認定されていません。福田さんは2009年2月の後日談の結びで、供述の大半を信用できないとされた少年について、彼に嘘をつかせたのは誰だったのかと問いかけています(要旨)。
なぜ薮下は一度謝罪してしまった?
薮下が謝ったのは、校長と教頭に、場を収めるためだと求められたからです。本人にも心当たりが2つありました。拓翔が同級生に手を出すのを止めようとして、頬を手の甲で軽くはたいたこと。家庭訪問で「血」にふれる相づちを打ったことです。
謝罪は応接室だけで終わらず、臨時の保護者懇談会では、いじめだったと認めて謝るところまで追い込まれます。この謝罪が、教育委員会の処分でも裁判でも薮下に不利な材料になりました。最後の意見陳述で薮下は、その場をやり過ごすために抵抗せず謝ったことを悔やんでいます。
実話でも、人事委員会は学校の対応を問題にしました。両親の抗議と教諭の説明に大きな食い違いがあると分かっていながら、事実を確かめないまま謝罪させ、担任を外すといった要求を次々に受け入れた、という指摘です。
映画でっちあげの結末|10年後のラストと実話との違い
一審の判決は、薮下個人への請求をすべて棄却し、向井市に220万円の支払いを命じるものでした。10カウントに伴う数回の体罰と「アメリカ人」などの発言は認められたものの、体罰は軽微とされ、差別発言・自殺強要・PTSDは信用できないと退けられます。湯上谷は言い分の9割方が認められたと評価し、薮下には学校へ復帰できるという知らせが届きます。
二審は氷室家と向井市だけの争いになり、賠償額が110万円上乗せされて裁判は終わります。体罰が一部あったという認定は残ったままでした。
そして10年後。息子の勇気は教育実習の初日を迎え、薮下は仏壇の鈴を鳴らして家を出ます。妻の希美(木村文乃)がすでに亡くなっていることが、この場面でうかがえます。勤務先の小学校の前に湯上谷が現れ、停職6か月の処分が取り消されたことを書類で伝えます。新学期の黒板に自分の名前を書く薮下。帰り道、律子と拓翔によく似た2人を見かけて追いかけますが、見失ったところで映画は終わります。
| 項目 | 映画 | 実話(原作・公表情報) |
|---|---|---|
| 舞台 | 向井市の希望ヶ丘小学校 | 福岡市の市立小学校 |
| 実名報道した週刊誌 | 週刊春報 | 週刊文春 |
| 体罰の呼び名 | ピノキオ、うさぎ | 両親の主張ではアンパンマン、ミッキーマウス、ピノキオなど |
| アメリカ人の祖父 | 戸籍謄本で否定される | 確定判決は血縁の有無を認定していない。福田さんは、裁判の過程で事実でないと分かったと書いている |
| 判決 | 一審220万円、二審で110万円上乗せ | 福岡地裁220万円、福岡高裁330万円 |
| 復職の時期 | 一審判決のあと | 一審判決の約3か月前(2006年4月) |
| 処分の取り消し | 「十年後」の場面で湯上谷が知らせる | 2013年1月17日。懲戒処分から9年あまり |
| 妻 | 10年後の場面で、亡くなっていることがうかがえる | 新潮社公式サイトの後日談に家族の記述はなく、確認できない |
| 告発した家族のその後 | わからない、という独白で終わる | 公表されていない |
希美が亡くなる描写は、冤罪が晴れるまでにかかった時間の重さを伝える映画の表現として受け取るのが安全です。実在の教諭の家族に同じことが起きたと確認できる情報はありません。
でっちあげはどこで見れる?原作はどこで読める?
映画「でっちあげ ~殺人教師と呼ばれた男」の配信状況です(2026年10月6日に確認。U-NEXT公式の作品ページと、配信情報サイトFilmarksの掲載内容による)。
| サービス | 配信状況 |
|---|---|
| U-NEXT | レンタル(399円。ポイント利用可) |
| Netflix | 見放題 |
| Amazonプライムビデオ | レンタル・購入 |
| DMM TV | レンタル |
| Blu-ray・DVD | 2025年12月3日発売(東映ビデオ) |
※配信状況・料金・無料期間は変更される場合があります。最新情報は各公式サイトを必ずご確認ください。
律子の語る家庭訪問と、薮下の語る家庭訪問。同じ雨の夜がまるで別の出来事に見える2つの場面を、続けて見比べてみてください。柴咲コウさんの目つきの違いに気づいた瞬間、背筋が冷えます。
U-NEXTではレンタル作品(399円)ですが、無料トライアルでもらえる600円分のポイントをそのまま使えます。月額料金がかからない31日のあいだに、法廷で薮下が口を開く場面まで見届けられます。
原作ルポは、裁判・カルテ・判決にそれぞれ一章を割いています(文庫版の第4〜6章)。新潮文庫版は電子書籍にもなっていて、新潮社公式サイトによると定価は737円。巻末には『「でっちあげ」事件、その後』が収録され、控訴審の経過まで追えます。田近康平さんの作画による漫画版(全4巻)も出ています(参考:新潮社『でっちあげ―福岡「殺人教師」事件の真相―』書籍ページ)。
550人の弁護団と向き合った法廷を、活字でじっくり追いかける夜もいいものです。読み終えてからもう一度映画を再生すると、湯上谷の一言一言の重みが変わります。
電子書籍なら、思い立った今夜のうちに読み始められます。
でっちあげの犯人に関するQ&A
薮下の妻・希美は亡くなった?実話でも同じ?
映画では、10年後の場面で薮下が仏壇の鈴を鳴らして出かける描写があり、希美は亡くなっていると読めます。実話については、新潮社公式サイトの後日談に教諭の家族の記述がなく、同じことが起きたかどうかは確認できません。
鳴海と週刊春報にモデルはある?
週刊春報は映画オリジナルの誌名です。実際に教諭の実名と顔写真を載せて報じたのは、2003年10月2日発売の週刊文春でした。事件を最初に報じたのは、同じ年の6月27日の朝日新聞(西部本社版)です。
550人の弁護団は実話でも本当?
本当です。児童側の代理人弁護士の呼びかけで、約550人の弁護団が組まれました。原作の第4章には「550対0の不条理」という題がついています。
ピノキオやうさぎは実際にあった体罰?
実話で両親が訴えたのは「アンパンマン」「ミッキーマウス」「ピノキオ」などの呼び名がついた体罰です。教諭は、先輩に教わった叱り方で、頬や耳や鼻に軽くふれる程度だったと説明しています。福岡高裁の判決には数回あったと書かれましたが、人事委員会は体罰があったという供述を信用できないと判断しました。
律子は罪に問われた?逮捕された?
映画でも実話でも、刑事事件にはなっていません。争われたのは損害賠償を求める民事訴訟で、逮捕や起訴の場面は映画にもありません。
漫画版でっちあげの犯人も同じ?
漫画版(田近康平さん作画・全4巻)は同じ原作をもとにしていて、訴える側は沢渡家、教諭は杉谷という名前で登場します。公式のあらすじでも、裁判で沢渡家の矛盾が明らかになっていくと紹介されています。
映画でっちあげの舞台はどこ?
映画の舞台は、架空の向井市にある希望ヶ丘小学校です。もとになった事件が起きたのは福岡市の市立小学校で、原作でも学校名は伏せられています。
まとめ

・映画で体罰事件をでっちあげたのは、児童の母親・氷室律子
・実話で律子にあたるのは児童の母親。原作では仮名で、実名は公表されていない
・実話の裁判は民事。福岡市に330万円の賠償が確定したが、差別発言・自殺強要・PTSDの訴えは退けられた
・2013年1月17日、福岡市人事委員会が教諭の停職処分を取り消した
・母親側の現在は公表されていない。教諭は2006年に復職している
「でっちあげ」は、ひとりの母親の訴えだけで出来上がった事件ではありませんでした。確かめずに謝らせた学校、処分を出した教育委員会、実名で報じた週刊誌。訴えを大きくした大人たちが、映画にも実話にも同じ顔ぶれで並んでいます。
律子の供述で始まり、薮下の供述で裏返る129分。答えを知ったうえで、最初の家庭訪問からもう一度どうぞ。
無料トライアルでもらえるポイントが、そのままレンタル代にあてられます。
※配信状況・料金・無料期間は変更される場合があります。最新情報は各公式サイトを必ずご確認ください。
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3位
