作品名 映画『哀愁しんでれら』(2021年2月5日公開/監督・脚本:渡部亮平)
犯人・黒幕 来実の転落:犯人は明示されない。ラストの手紙には、ヒカリは殺していないという趣旨の言葉がある
ラストの事件:小春(演:土屋太鳳)と大悟(演:田中圭)
動機 ラストの事件:ヒカリと家族を守るため(劇中の描写をもとに整理)
凶器・手口 来実の転落:教室の窓から転落(経緯は描かれない)
ラストの事件:小学校の集団予防接種で、注射の中身をインスリンにすり替えた
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映画『哀愁しんでれら』で来実(くるみ)を突き落とした犯人は、劇中では最後まで示されません。放課後の教室でヒカリが来実に近づいたところで場面が切り替わり、転落の瞬間は映らないからです。渉はヒカリが突き落としたと訴えますが、裏づける場面はなく、終盤には「ヒカリは殺していない」という趣旨の手紙が登場します。

■来実を突き落とした犯人:劇中で明示されない
■ヒカリ:ラストの手紙では、殺していないとされる
■分からないこと:来実がどのように転落したのか
■疑われた理由:筆箱とお弁当の嘘、来実が亡くなったあとの態度、渉の証言
■解説:ヒカリへの疑い/渉の証言/ラストの手紙/伏線と結末

『哀愁しんでれら』は2021年2月5日公開の映画です。監督・脚本は渡部亮平さんで、原作のないオリジナル作品。「TSUTAYA CREATORS’ PROGRAM FILM 2016」でグランプリを受賞した企画をもとにしています。主演は土屋太鳳さん、共演は田中圭さん。映画公式サイトでは「“裏”おとぎ話サスペンス」と紹介されています。検索では「哀愁シンデレラ」とカタカナで書かれることもあります。

ここから先は、結末までのネタバレを含みます。

哀愁しんでれらで来実を突き落とした犯人は誰?

来実は、ヒカリ(演:COCO)と同じクラスの女の子です。ヒカリが思いを寄せる渉(ワタル)と仲のよい児童として登場します。

放課後の教室、来実は窓際にいます。そこへヒカリが後ろから近づいたところで、場面は切り替わってしまいます。その後に描かれるのは、来実とのお別れの場面です。

来実が窓から転落するまでに何があったのかは、映像として描かれていません。ヒカリが押したのか、来実がバランスを崩したのか、ほかの何かがあったのか。観客に判断材料は渡されないままです。

のちに小春と大悟が学校を訪れた場で、渉が、ヒカリが突き落とすのを見たと声を上げます。家で問いただされたヒカリは、強く反発します。それでも、転落の場面そのものが映ることは最後までありません。映画が示すのは疑いまでで、犯人は確定しないのです。

ふみ@管理人
ふみ@管理人
肝心の瞬間だけカメラが外れるの、もどかしいですよね…!「見ていないのに決めつけていない?」と、こちらが試されている気がします〜。

ヒカリは殺してない?来実を殺したと断定できない理由

ヒカリが来実を突き落としたと断定できない理由は、3つあります。転落の瞬間が描かれないこと、終盤に手紙が登場すること、渉の証言を裏づける場面がないことです。劇中で確認できることと、そこからの解釈を分けて見ていきます。

突き落とす瞬間は映っていない

放課後の場面で映るのは、ヒカリが来実に近づく姿までです。ヒカリを犯人とする材料は、渉の言葉と、前後のヒカリの振る舞いしかありません。転落の瞬間は描かれておらず、映像だけでは犯人を確定できません。

ラストの手紙の意味

終盤、予防接種の日に、眼鏡をかけたクラスメイトの女の子が、ヒカリ宛ての手紙を小春に渡します。

書かれていたのは、ヒカリは殺していない、みんなそれを分かっている、という趣旨の言葉でした。ヒカリが来実を殺したという見方を、同じクラスの子が打ち消す内容です。

渉の証言はどこまで信じられるか

ヒカリが突き落とすのを見たと語るのは、劇中では渉だけです。その渉は筆箱の件でヒカリに泥棒扱いされ、母親と一緒に謝罪に来させられています。ヒカリに腹を立てていてもおかしくない立場でした。

とはいえ、仕返しの嘘だったのか、見間違いや思い込みだったのかは、劇中で説明されません。言えるのは、渉の言葉だけではヒカリを犯人と決められない、というところまでです。

私は、ラストの手紙を重要な手がかりとして受け止めています。渉の証言を裏づける場面は描かれず、一方で手紙には、ヒカリは殺していないという趣旨の言葉があるからです。ただし、手紙の内容が真実だと確定する描写もありません。来実の転落の真相は、最後まで明らかにならないままです。

哀愁しんでれらでヒカリが犯人だと思われた理由

証拠がないのに、なぜヒカリは疑われるのでしょうか。転落の前から重なっていたヒカリの嘘と、来実が亡くなったあとの言動が理由です。

筆箱を盗まれたという嘘

ヒカリは、小春が手作りした筆箱を渉に盗まれたと訴えます。渉は盗んでいないと否定したまま、母親と一緒に泉澤家へ謝罪に来ることになりました。

その後、筆箱は自宅のトイレを詰まらせた状態で見つかります。盗まれたという話は、ヒカリの嘘でした。小春はこのことを誰にも告げず、筆箱を捨ててしまいます。

お弁当を作ってもらえないという嘘

ヒカリは学校で、お弁当を作ってもらえないと泣いていました。小春は担任からそう聞かされます。実際には毎朝、お弁当を作って持たせていました。

小春は確かめるために、おにぎりの中へ5円玉とマグネットを入れます。空の弁当箱を持ち帰ったヒカリは、味を聞かれて、おいしかったと答えました。異物に触れないその返事で、食べていないことが小春に伝わります。

来実が亡くなったあとの言動

疑いを強めたのが、来実が亡くなったあとのヒカリです。

  • 小春に黒い靴を勧められても聞き入れず、赤い靴で来実とのお別れの場に参列する
  • 焼香のあとに笑みを浮かべる
  • ファミレスでゲームをしながら、来実は邪魔ばかりするという趣旨のことを口にする

悲しんでいるようには見えない言動が続きます。小春は大悟に不安を打ち明けますが、大悟は取り合いません。嘘を重ねてきた子がこの態度を取れば、疑う目が向くのも無理はありません。

渉はなぜ「ヒカリが突き落とした」と言ったのか

ここからは、劇中の描写をもとにした考察です。渉がヒカリを名指しした理由として、私は3つの可能性を考えています。

  • 仕返し:泥棒扱いされ、母親と謝罪に行かされたことへの怒りがあった
  • 思い込み:転落の前後に見聞きしたことから、ヒカリが突き落としたと信じ込んだ
  • 悲しみのぶつけ先:仲のよかった来実を失い、誰かのせいにせずにいられなかった

どの可能性が正しいのかは、劇中で明らかにされません。3つのどれであっても、「見た」という言葉をそのまま事実として受け取るのは難しくなります。

渉の訴えのあと、泉澤家には人殺しと落書きされ、石も投げ込まれます。来実の事件で印象的なのは、真相が確かめられないまま、疑いが事実のように広がっていくことです。

ヒカリの疑惑につながる伏線を整理

ヒカリへの疑いにつながる場面を表にまとめました。左と中央の列は劇中で描かれる出来事、右の列は私の考察です。順序は大まかな流れとしてご覧ください。

伏線・描写 劇中で確認できること 考察(私の読み)
ヒカリが小春に、渉が好きだと打ち明け、父には内緒にしてと頼む 小春は大悟に話してしまい、ヒカリはそれを立ち聞きする 小春への反発が強まるきっかけになった
ヒカリが、筆箱を渉に盗まれたと訴える 筆箱は自宅のトイレから見つかる。盗難の訴えは嘘だった 渉の気を引きたかった可能性がある
学校で、お弁当を作ってもらえないと泣く 小春は毎朝作っていた。おにぎりの仕掛けで、食べていないと分かる 渉や周りの目を集めたかった可能性がある
放課後の教室で、ヒカリが窓際の来実に近づく 転落の瞬間は映らない。来実は亡くなる 押したとも、押していないとも、映像からは決められない
お別れの場に赤い靴で参列し、焼香のあとに笑みを浮かべる ファミレスでは、来実は邪魔ばかりするという趣旨のことを口にする 悲しまない姿が、ヒカリがやったという印象を強めている
渉が、ヒカリが突き落とすのを見たと訴える 証言を裏づける場面は最後までない 仕返し、思い込み、悲しみのぶつけ先のどれもありうる
予防接種の日、眼鏡の女の子が小春に手紙を渡す 手紙には、ヒカリは殺していないという趣旨の言葉が書かれている。小春は読んだあと手放す 手紙を信じるなら、ヒカリが殺したという見方は否定される

中央の列を見ると、ヒカリの嘘は劇中ではっきりします。転落の場面だけは、何が起きたのかが埋まらないままです。嘘をついたことと、来実を突き落としたことは別の問題です。

ヒカリはなぜ嘘を重ねたのか

ヒカリが嘘の理由を自分で説明する場面はありません。この章は、劇中の行動から考えた私の読みです。

渉の気を引きたかった可能性

ヒカリは渉に思いを寄せています。筆箱の件では渉が家まで謝りに来ることになり、お弁当の件では学校で泣いて周りの目を集めました。どちらの嘘も、結果として渉や周囲の関心をヒカリに向けています。好きな相手に構ってもらうための、幼いやり方だったのかもしれません。

小春との関係に不安を抱えていた可能性

ヒカリは8歳で、実の母親を亡くしています。そこへ新しい母親として来たのが小春でした。

反抗が強まる前には、内緒話の一件があります。ヒカリは渉が好きだと小春に打ち明け、父には内緒にしてと頼みました。小春はそれを大悟に話してしまい、ヒカリはその会話を立ち聞きします。秘密を守ってもらえなかったことが小春への反発につながった、と私は見ています。

嘘の理由は一つに決められません。子ども同士の関係と、新しい家族とのすれ違いの両方が重なっていたように読めます。

ふみ@管理人
ふみ@管理人
8歳の子の「こっちを見て」が、嘘という形でしか出てこなかったのかも…。そう思うと、「うざい」の一言では片づけにくくなりますよね〜!

来実の事件とラストのインスリン事件の関係

来実の事件でヒカリに向けられた疑いは、ラストの事件へつながっていきます。渉の訴えのあと、泉澤家は落書きや投石にさらされ、孤立していきます。小春と大悟は、小学校の集団予防接種で注射の中身をインスリンにすり替えました。学校医の大悟が注射を打ち、小春が助手を務めます。

ヒカリ宛ての手紙が小春に渡されるのは、その集団予防接種の日です。小春は手紙を読んだあと、それを手放し、3人だけになった教室で授業を始めます。

哀愁しんでれらはどこで見れる?

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哀愁しんでれらの犯人に関するQ&A

ヒカリがうざいと言われるのはなぜ?

筆箱やお弁当の嘘が続き、小春への反抗も強まっていくためです。物語は小春を中心に進むので、振り回される側の苛立ちが伝わりやすくなっています。ヒカリの側にも、内緒にしてと頼んだ話を小春が大悟に伝えてしまった、という事情が描かれています。

ヒカリ役の子役は誰?

COCOさんです。キッズインスタグラマーとして知られ、本作が映画初出演でした。

ヒカリは何歳の設定?

8歳です。公式のあらすじで、大悟は8歳の娘・ヒカリを男手ひとつで育てる開業医と紹介されています。

来実と渉はどんな関係?

ヒカリと同じクラスの児童で、仲のよい様子が描かれます。ヒカリは渉に思いを寄せていて、小春にもそう打ち明けています。

小春に手紙を渡したのは誰?

ヒカリのクラスメイトで、眼鏡をかけた女の子です。公式サイトのキャスト欄に役名はなく、確認できた範囲では名前は分かりません。

哀愁しんでれらは実話なの?

実話ではなく、渡部亮平監督のオリジナル脚本によるフィクションです。企画の背景として紹介されている2016年の報道については、冒頭の表の関連記事で解説しています。

まとめ


映画『哀愁しんでれら』では、来実を突き落とした犯人は最後まで示されません。

・放課後の教室では、ヒカリが来実に近づいたところで場面が切り替わる
・渉はヒカリが突き落としたと訴えるが、証言を裏づける場面は描かれない
・終盤に、ヒカリは殺していないという趣旨の手紙が登場する
・筆箱とお弁当の嘘、お別れの場での態度が、ヒカリへの疑いを強めている
・小春は手紙を読んだあと、それを手放して3人だけの教室で授業を始める

ヒカリの嘘は劇中ではっきりしますが、来実の転落は最後まで空白のままです。ラストの手紙をどう受け止めるかで、放課後の教室の場面も、小春の最後の選択も、受け取り方が変わります。

▼筆箱、お弁当、赤い靴。疑いが積み上がっていく順番を、最初から追いかけられます
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