『ミステリと言う勿れ』映画の犯人は誰?真犯人の動機と鬼の正体・蔵の謎をネタバレ解説
| 作品名 | 映画『ミステリと言う勿れ』(2023年9月15日公開/監督:松山博昭/原作:田村由美「広島編」) |
|---|---|
| 犯人・黒幕 | 車坂朝晴(演:松下洸平) ※前半の騒動は狩集汐路の自作自演 |
| 動機 | 一族に伝わる「鬼の掟」を守るため。鬼と同じ容姿の子孫を消し、秘密を暴こうとした汐路の父たちの口を封じた |
| 凶器・手口 | 睡眠薬入りのみかんジュースで汐路の父を眠らせ、居眠り運転による転落事故に見せかけた |
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この記事は映画『ミステリと言う勿れ』の犯人についての記事になっています。
真犯人は、顧問弁護士の孫・車坂朝晴(演:松下洸平)です。8年前に親世代4人を事故に見せかけて殺した張本人で、前半の不審な出来事は汐路の自作自演でした。
■真犯人:車坂朝晴(演:松下洸平)
■前半の騒動:狩集汐路(演:原菜乃華)の自作自演
■動機:一族に伝わる「鬼の掟」
■解説:伏線/鬼の正体/蔵の謎/死亡キャラ/関係図/結末と最後のシーン/原作との違い
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映画『ミステリと言う勿れ』の犯人は誰?
映画版の「犯人」は1人ではなく、事件ごとに手を下した人物が違います。
| 事件 | 犯人 | 手口・補足 |
|---|---|---|
| 8年前、親世代4人が乗った車の転落事故 | 車坂朝晴 | 睡眠薬入りのジュースで汐路の父を眠らせ、居眠り運転に見せかけた |
| 植木鉢の落下・蔵への閉じ込め・階段での転落 | 狩集汐路 | 父の死を「殺人」と思わせるための自作自演 |
| 『鬼の集』の脚本家・宝田完次の死 | 車坂義家・真壁軍司 | 自殺に見せかけた(朝晴の証言による) |
| 終盤の放火未遂 | 車坂朝晴 | 整が仕掛けた罠にかかり、現行犯で取り押さえられた |
物語の核となる殺人を犯したのは、顧問弁護士の孫・車坂朝晴(演:松下洸平)です。
真犯人は車坂朝晴(演:松下洸平)
朝晴は、狩集家の顧問弁護士・車坂義家(段田安則)の孫で、弁護士見習いです。汐路の初恋の相手でもあり、兄のように彼女を気にかけながら蔵の謎解きに付き合います。
演じるのは松下洸平さん。ぴあ映画のインタビューでは「朝晴の何面もの顔を見せたかった」と語っています。その言葉どおり、穏やかな笑顔の裏にあったもう一つの顔が、終盤で明かされます。
映画は原作「広島編」の実写化
公開は2023年9月15日、上映時間は128分です。田村由美さんの同名漫画(小学館「月刊フラワーズ」連載)が原作で、2022年1月期のフジテレビ月9ドラマの劇場版にあたります。描かれるのはコミックス2〜4巻の通称「広島編」。監督はドラマ版から続投の松山博昭さん、脚本は相沢友子さんです(映画公式サイト/映画.com)。
前半の事件の犯人は汐路?植木鉢・蔵・階段の真相
物語は、当主・狩集幸長の遺言状の開封から始まります。全財産を孫4人のうち1人だけに相続させるという内容で、4人にはそれぞれ蔵が割り当てられました。
- 理紀之助:明聡の蔵
- ゆら:温恭の蔵
- 新音:忠敬の蔵
- 汐路:問難の蔵
お題は「それぞれの蔵において、あるべきものをあるべき所へ、過不足なくせよ」。映画公式サイトのストーリー紹介でも、このお題と8年前の自動車事故が物語の出発点に置かれています。
遺言状が読み上げられた広間で、整は思わず「犬神家の一族」とつぶやきます。広間などの撮影に使われたのは、岡山県倉敷市の旧野崎家住宅です(MOVIE WALKER PRESS)。ドラマ版『犬神家の一族』のロケ地にもなった屋敷なので、このつぶやきには遊び心も感じます。
汐路は、この家の相続では毎回死人が出ると整に打ち明けます。実際、次のような出来事が続きました。
- 蔵へ向かう汐路のそばに、植木鉢が落ちてくる
- ゆらが自分の蔵に閉じ込められる
- 汐路と新音が、油の塗られた階段から転げ落ちる
汐路は理紀之助や新音を疑います。ところがその夜、庭の柵のそばに短刀を仕込もうとしていた汐路本人を、整が見つけて止めました。前半の騒動は、汐路の自作自演だったのです。
なぜ汐路は騒動を起こした?
8年前の事故は、運転していた汐路の父の居眠りが原因とされ、一族の中で父が責められていました。劇中の描写では、汐路は父が「殺された」のだと周囲に思わせたくて、一族の殺し合いを演出していたとされています。
背景には、幼い頃に祖父から「殺し合う一族なんだ」と聞かされた経験もありました。整は、子どもは乾く前のセメントのようなもので、落とされたものの跡が残ると語ります。このたとえは、のちに朝晴を読み解く鍵にもなります。
ゆらたちは汐路を許しました。ホラー映画で危ないのはみんながバラバラになることだ、という整の提案を受け、4人は協力して蔵の謎に向き合うことを決めます。
車坂朝晴が真犯人だと分かる伏線を整理
朝晴は汐路の味方として謎解きに同行しますが、振り返ると序盤から不自然な言動がありました。表の左が劇中の描写、右がその意味です。
| 伏線・描写 | 最終的に分かること |
|---|---|
| 整が汐路の蔵の人形を『サスペリア2』の人形にたとえると、朝晴が「そんなに大きくないでしょ」と返す | 蔵に入っていないはずの朝晴が、人形の実物を知っていた |
| 整が車に轢かれかけて川に落ちた話に、朝晴だけが本気で驚く | 整への襲撃は祖父・義家の側によるものと考えられる。朝晴は謎解きを進める整を必要としていた |
| 朝晴が殺人説に賛成し、調査を後押しする | 子どもたちに親の調査ルートをなぞらせ、真の子孫の情報が入ったUSBメモリにたどり着かせたかった |
| 事故のあと、朝晴が各家を回り、父親がパソコンを使っていたかを何度も尋ねていた | 行方の分からないUSBメモリを探していた |
| 事故の朝、出かける前の汐路の父がみかんジュースを飲んでいた | ジュースを持ってきたのは朝晴で、睡眠薬が入っていた |
| 運転していた汐路の父のポケットから、溶けたプラスチック片が見つかる | USBメモリのキャップ。本体は別の場所に隠されていた |
| 汐路が幼い頃に描いた『秘密の花園』の絵が、父の希望で半分だけ紫 | 紫好きの父は、本物のUSBメモリを玄関のアメジストドームに隠していた |
| 屋敷のあちこちにあるお札や盛り塩、魔除けのアメジスト | 逃げた娘の報復を恐れた「鬼」たちの習慣が、今も残っていると読める |
決定打は、整が関係者全員に流した「USBメモリの隠し場所」でした(詳しくは結末の章で)。
朝晴の動機は「鬼の掟」|狩集家の鬼の正体とは
朝晴の動機は、遺産でも個人的な恨みでもありません。鬼と同じ容姿を持つ子孫を殺すという「鬼の掟」を、自分の代でも守り続けることでした。
鬼の正体は『鬼の集』に描かれた3匹の鬼
手がかりは、問難の蔵の床下から出てきた『鬼の集』という芝居のチケットでした。9年ほど前に数日だけ上演された作品で、脚本を書いた鞠子の弟・宝田完次は上演後に「自殺」しています。劇団に残っていた朗読劇の映像が語る筋書きは、次のとおりです。
・江戸から明治への動乱期、巻き毛に白い肌の頭と2人の手下、計3匹の鬼が狩田という麻農家に雇われる
・鬼たちは主人や使用人を殺して若妻を奪い、家を乗っ取る。主人夫婦の幼い娘だけが逃げ延びる
・殺した人々を丘に埋め、その上に4つの蔵を建てる。蔵の一つは若妻を閉じ込める座敷牢に
・頭の鬼は髪を黒く染めて当主になりすまし、「自分たちと同じ明るい髪の子が生まれたら殺す」掟を作った
「狩田」の家に鬼が「集」まった——これは狩集家そのものの話でした。実際に問難の蔵の床下からは、複数の人骨が見つかります。
終盤、整は3匹の鬼が今の狩集家・車坂家・真壁家になったと指摘します。頭の鬼の血筋が当主の狩集家、2人の手下の血筋が顧問弁護士の車坂家と顧問税理士の真壁家です。3家は協力して掟を守り、天然パーマで色白の子孫を、相続争いや事故、病気に見せかけて消してきました。汐路が感じていた「相続のたびに人が死ぬ」ジンクスの正体は、この掟です。
なぜ汐路の父たちは狙われた?
発端は、汐路の父・弥が古い写真から、早世した親族の共通点に気づいたことでした。弥は姉の長子(新音の母)に相談し、蔵の偽物の茶碗から宮島焼の工房、宝田完次、『鬼の集』と調べを進めます。そして、逃げ延びた娘の子孫にたどり着きました。
終盤の告白で朝晴は、天然パーマで色白だった弥と長子はもともと「殺すリスト」に入っていたと明かします。2人の殺害は、自分の“初仕事”だったとも語りました。汐路から電話で「出かけるのは2人」と聞いていたため、4人の同乗は想定外だったといいます。朝晴の言い分どおりなら、理紀之助の父とゆらの母は巻き込まれた形です。
何も知らずに父の動きを朝晴へ話していた汐路は「私のせい?」と動揺します。しかし整は、責任は100%朝晴にあると言い切りました。
「初仕事」と語った朝晴の心理と“乾く前のセメント”
朝晴は連行される間際まで、自分は必要なことをしているだけだという態度を崩しません。汐路に嘘をつかれたことが悲しい、とさえ口にします。
そんな朝晴に整は、使命だと思うなら隠す必要はないはずだと問いかけました。本当に正しいと信じているなら、事故に偽装する理由はありません。劇中の描写からは、朝晴自身もどこかで後ろ暗さを自覚していたと読み取れます。
私は、整が汐路に語った“乾く前のセメント”のたとえが、朝晴にも当てはまると考えています。序盤で朝晴は、車坂家に生まれたら弁護士、真壁家なら税理士にならなければならないと話していました。職業まで家に決められ、掟を当然のものとして教え込まれてきたのだとすれば、朝晴も負の継承に縛られた一人と見ることができます。
それでも映画は彼を免罪しません。刻まれたものがあっても、実行を選んだのは本人です。その線引きを、整の「100%」という言葉が示しています。
4つの蔵の謎|「あるべきもの」の答えと、蔵の名前に「義」がない理由
4人に割り当てられた蔵には、それぞれ一族の過去につながる品が眠っていました。
| 蔵の名前 | 割り当て | 中にあったもの | 最終的に分かること |
|---|---|---|---|
| 明聡の蔵 | 理紀之助 | 髪の毛が絡んだ古い兜、血が付いたまま錆びた刀 | 刀の血は人の血と判明。約150年前の惨劇の名残と考えられる |
| 温恭の蔵 | ゆら | 奥に座敷牢、着物に包まれた手帳 | 座敷牢は鬼が若妻を閉じ込めた場所。手帳は汐路の父の調査記録(肝心なページは抜き取られていた) |
| 忠敬の蔵 | 新音 | 同じ形の宮島焼の茶碗が2つずつ(片方は偽物) | 劇団主宰者の話では、偽物は宝田完次がすり替えたもの。汐路の父たちは本物を「持ち主に返す」と話していた |
| 問難の蔵 | 汐路 | 月ごとの花柄の着物を着た日本人形9体(菊・牡丹・桜が不足)。床下に『鬼の集』のチケットと人骨 | 牡丹は逃げた娘が持ち出し、桜は汐路の父が真の子孫に返却、菊は事故車のトランクに。床下は殺された人々が埋められた場所 |
お題の「あるべきものをあるべき所へ」は、奪われた人形や本物の茶碗を、本来の持ち主である逃げ延びた娘の子孫へ返すことだと読み取れます。8年前、汐路の父たちが進めていたのがまさにそれでした。
一方で整は、朝晴たちがこの相続の仕組みを利用していたと指摘します。蔵の手がかりをたどらせれば、子どもたちは親の調査ルートをなぞり、真の子孫の居場所が記されたUSBメモリにたどり着くかもしれない。謎解きのゴールが、そのまま犯人側の狙いにもなっていたのです。
ちなみに蔵の外観は、千葉県我孫子市の旧井上家住宅で撮影されました(ちばとぴ!)。内部はスタジオに組まれたセットです。
蔵の名前は『論語』の「九思」|欠けている「義」の意味
遺言状で蔵の名前が読み上げられたとき、整は「1つ足りない」とつぶやきます。明聡・温恭・忠敬・問難の8文字は、『論語』季氏篇で君子の心がけを説いた「九思」から取られています。
| 九思の句 | 意味 | 対応する蔵 |
|---|---|---|
| 視思明・聴思聡 | 見るときは明らかに、聞くときは聡く | 明聡の蔵(理紀之助) |
| 色思温・貌思恭 | 表情は穏やかに、振る舞いはうやうやしく | 温恭の蔵(ゆら) |
| 言思忠・事思敬 | 言葉は誠実に、仕事は慎重に | 忠敬の蔵(新音) |
| 疑思問・忿思難 | 疑問は人に問い、怒りには後の災いを思う | 問難の蔵(汐路) |
| 見得思義 | 利益を前にしたら、道義にかなうかを思う | なし |
終盤、整は九思のうち最も大事な「義」だけが、蔵の名前から抜けていると指摘します。さすがにその字は付けられなかったのだろう、というのが整の見立てです。
ここからは私の読みです。欠けた「見得思義」は、利益を前にしたときこそ道義を考えよという教え。人を殺して家と財産を奪った一族にとって、「義」は最も掲げにくい一字だったはずです。しかも遺産相続は、一族が莫大な「得」を前にする場面そのもの。欠けた一字が、狩集家の相続への答えになっている——私はそう受け取りました。
映画で死亡したキャラ一覧|朝晴たちに殺された人物
現在の時間軸で新たな死者は出ませんが、過去には多くの人物が掟の犠牲になっています。
| 人物(演者) | 死亡の経緯 | 関わった人物 |
|---|---|---|
| 狩集弥(滝藤賢一)=汐路の父 波々壁長子(岩橋道子)=新音の母 狩集悟(蒲田哲)=理紀之助の父 八木下幸恵(吉澤智美)=ゆらの母 |
8年前、兄弟4人で乗った車が崖から転落。居眠り運転として処理された | 車坂朝晴(朝晴の話では、狙いは弥と長子の2人) |
| 宝田完次(ダンディ坂野)=鞠子の弟 | 『鬼の集』上演後、酒が飲めないのに泥酔して手首を切った「自殺」として処理 | 車坂義家・真壁軍司(朝晴の証言) |
| 狩集幸長(石橋蓮司・写真出演)=当主 | 物語の前月に死去。事件性は描かれていない | — |
| 幸長の代の兄弟2人 | 前回の遺産相続の際に死亡(汐路の話) | 劇中で明言なし |
| 天然パーマ・色白の歴代の親族 | 相続争いや事故、病気に見せかけて早世 | 掟を守る3家 |
| 狩田家の人々 | 約150年前、鬼たちに殺されて丘に埋められた | 3匹の鬼 |
登場人物の関係図(相関図)と時系列を整理
相続を争う4人は全員いとこ同士で、4人の親はいずれも当主・幸長の子です。
| 相続候補 | 親 | ひとこと |
|---|---|---|
| 狩集汐路(原菜乃華) | 父・弥(滝藤賢一)/母・ななえ(鈴木保奈美) | 整を相続騒動に巻き込む高校生 |
| 狩集理紀之助(町田啓太) | 父・悟(蒲田哲) | 臨床検査技師。天然パーマ |
| 波々壁新音(萩原利久) | 母・長子(岩橋道子) | サラリーマン。母は弥の姉 |
| 赤峰ゆら(柴咲コウ) | 母・幸恵(吉澤智美)/父・恵介(大鷹明良) | 専業主婦。夫・一平(野間口徹)、娘・幸(秋山加奈) |
4人を取り巻く人物は、大きく3つのグループに分かれます。
- 顧問の2家:車坂義家(段田安則)は顧問弁護士。その孫の車坂朝晴(松下洸平)は弁護士見習いで汐路の初恋の人。真壁軍司(角野卓造)は顧問税理士
- 狩集家の親族:鯉沼鞠子(松坂慶子)は幸長のいとこで屋敷の世話役。その弟の宝田完次(ダンディ坂野)が『鬼の集』の脚本家
- 家の外の人物:君原奈津子(松嶋菜々子)は逃げ延びた娘の子孫で、狩集家の正統な末裔。志波一巳(でんでん)は8年前の事故を担当した広島県警の刑事。犬堂我路(永山瑛太)は汐路に整を紹介した青年
主要キャストは、映画ナタリーの発表記事(第1弾/第2弾)に掲載されています。150年前から現在までの流れは次のとおりです。
| 時期 | 出来事 |
|---|---|
| 約150年前(江戸〜明治の動乱期) | 3匹の鬼が狩田家を乗っ取る。主人夫婦の娘だけが逃げ延び、鬼たちは自分たちに似た容姿の子を殺す掟を作る |
| 幸長の代 | 遺産相続の際に、幸長の兄弟2人が亡くなる |
| 約9年前 | 宝田完次が蔵の巻物をもとに『鬼の集』を上演。その後、自殺に見せかけて殺される |
| 8年前 | 芝居や古い写真をきっかけに秘密を調べた汐路の父たちが、真の子孫にたどり着く。その後、4人が乗った車が崖から転落し、全員死亡 |
| 事故のあと | 朝晴が各家を回り、汐路の父がパソコンを使っていたかを探る |
| 物語の前月 | 当主・狩集幸長が死去 |
| 現在 | 遺言状の開封と蔵のお題→汐路の自作自演が発覚→『鬼の集』と人骨の発見→宮島の罠で朝晴を逮捕→真の子孫と対面 |
朝晴たちの末路と結末|最後のシーンの意味
終盤の流れは、次の3つです。
- 宮島の罠にかかった朝晴が、放火未遂の現行犯で逮捕される
- 宝田完次の死に関わった車坂義家・真壁軍司も連行される
- 4人は真の子孫と対面し、亡き親からのブレスレットを受け取る
宮島の罠で朝晴が現行犯逮捕
整は、USBメモリの隠し場所は厳島神社の大鳥居のそばだという情報を、関係者全員に流してもらいます。深夜、潮が引いた大鳥居の石垣から、何者かがUSBメモリ入りの瓶を掘り出しました。その人物はデータに記された家に忍び込み、蔵にガソリンをまいて火を付けようとします。そこを広島県警の志波刑事が取り押さえました。正体は朝晴です。
USBメモリは整が用意した偽物で、忍び込んだ家も空き家でした。宮島を選んだのは、潮の満ち引きで掘り出しに来る時間を読めるからです。
さらに汐路が、事故の朝にみかんジュースを持ってきたのは朝晴だったと思い出します。劇中では、手帳の紙から睡眠薬の成分が出たと理紀之助が告げると、朝晴がそんなものが今ごろ出るはずがないと反論してしまう場面もあります。駆けつけた義家と真壁についても、宝田完次の死は祖父と真壁によるものだと朝晴が明かしました。3人はそろって連行されます。
本当の狩集家の子孫と4本のブレスレット
本物のUSBメモリの在りかは、汐路が幼い頃に描いた『秘密の花園』の絵がヒントでした。紫好きの父の好みから、整は玄関のアメジストドームの中だと見抜きます。
4人が訪ねたのは、パワーストーンのアクセサリーを作る君原奈津子(松嶋菜々子)。逃げ延びた娘の子孫です。汐路の父は、彼女の写真の背景に映った人形から居場所を突き止め、桜の人形を返していました。
奈津子は『鬼の集』にまつわる話を先祖から何も聞いておらず、財産を望む様子もありません。汐路の父たちは、こんなことは自分たちの代で終わりにすると話していたといいます。そんな奈津子が手渡したのは、4人の親がそれぞれ頼んでいたブレスレットでした。
- ゆら:仕事を成功へ導く石(母から)
- 理紀之助:自由と信念の石(父から)
- 新音:冷静さと人徳の石(母から)
- 汐路:伸び悩んだ才能を開花させる石(父から)
別れ際、整は汐路にカウンセリングを勧めます。弱くて当たり前だと誰もが思えたらいい、まだ子どもだからセメントの穴は少し埋められる——そんな趣旨の言葉に、汐路は涙を流しました。
最後のシーン(エンドロール後)の意味
広島駅で、正体を尋ねるゆらに整は「ただの大学生です」と返します。追いかけてきた汐路は、東京に遊びに行くと約束しました。整が座席を倒して眠りにつき、本編は終わります。
エンドロール後は、東京の大隣警察署と洋上の我路のシーンです。
- 風呂光が池本と青砥に、銀座にある狩集弥の画廊の受付記録に我路の名前があったこと、広島の逮捕現場に整がいたことを伝える
- クルーザーにいる我路のもとに汐路からメールが届き、事件の解決と、整は面倒くさい人だったという報告に我路が微笑む
画廊の記録は汐路の父と我路のつながりを示し、我路が汐路に整を紹介した流れの裏づけになっていると考えられます。
また原作では、汐路がのちにカウンセラー・鳴子巽の患者だったと判明します。鳴子は、我路が愛珠の件で調べている人物です。整がカウンセリングを勧めるラストは、原作を知っていると少し意味深に映ります。
原作「広島編」と映画で犯人は違う?
犯人は変わりません。原作の広島編でも、親世代4人を事故に見せかけて殺したのは車坂朝晴とされています。車坂家と真壁家が、鬼の特徴を持つ子孫を代々始末してきた構図も共通です。原作はコミックス2〜4巻に収録されています(小学館「月刊フラワーズ」作品ページ)。
約2時間の映画に収めるため、いくつかの要素は整理されています。
| 項目 | 原作(広島編) | 映画 |
|---|---|---|
| 8年前の事故の真犯人 | 車坂朝晴 | 車坂朝晴(同じ) |
| 真壁絹代(真壁の孫で、理紀之助と親しい女性) | 登場する | 登場しない |
| 車坂家・真壁家の一人っ子は狩集家と結婚できないという決まり | 描かれるとされる | 描かれない |
| 犬堂我路 | 整を紹介した人物として名前が出るのみ | 冒頭とラストに登場 |
| 大隣署の刑事たち | 広島編には登場しない | エンドロール後に登場 |
なお、広島編は2022年の連続ドラマでは描かれませんでした。広島編だけで6時間ほどの尺が必要になることや、ほかのエピソードと空気感が違うことから、映画化を見越して飛ばされたとされています。ドラマでは整が訪れる印象派展の開催地が大阪に変えられていましたが、映画では原作どおり広島が舞台になりました。
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映画『ミステリと言う勿れ』の犯人に関するQ&A
理紀之助や新音は犯人じゃないの?
犯人ではありません。前半、汐路は階段の油を理紀之助、植木鉢を新音の仕業だと疑いましたが、一連の騒動は汐路の自作自演でした。8年前の事故でも、2人は親を奪われた側です。
整を車で川に落としたのは誰?
はっきりした自白の形では描かれていません。ただ、整に問われた朝晴が、祖父は整を厄介に思っていたと答えています。そのため、車坂義家の側の仕業と考えられます。朝晴自身は、謎解きを進める整を必要な存在と見ていました。
鞠子の弟・宝田完次はなぜ殺された?
蔵で見つけた古い巻物をもとに『鬼の集』を書き、一族の秘密を芝居として世に出してしまったためと考えられます。酒が飲めないのに泥酔し、手首を切った状態で見つかりました。朝晴は、祖父と真壁の仕業だと明かしています。
当主の幸長は鬼の掟を知っていた?
朝晴の話では、鬼の話は当主になる人物だけに伝えられるため、幸長も知っていたことになります。汐路が幼い頃に祖父から「殺し合う一族」と聞かされていたのも、この背景を踏まえると重みが変わってきます。
ゆらの娘・幸も狙われていたの?
劇中で幸が襲われる場面はありません。ただ幸は天然パーマのため、人骨が見つかったあと、ゆらは娘にも危険が及ぶのではと案じています。同じく天然パーマの理紀之助も、掟が続いていれば標的になり得た立場です。
汐路はその後どうなる?
映画では、整にカウンセリングを勧められ、東京で会う約束をして別れます。原作では後日、汐路が大学の整を訪ね、「双子を見分けてほしい」という依頼を持ち込むエピソードで再登場します。
ドラマを見ていなくても映画は楽しめる?
楽しめます。広島編はほぼ独立したエピソードで、狩集家の人々も映画で初登場です。ドラマとのつながりは、冒頭とラストの犬堂我路(永山瑛太)と、エンドロール後の大隣署の刑事たち程度。我路が汐路に整を紹介した人物だと押さえておけば十分です。
まとめ
映画『ミステリと言う勿れ』は、前半と後半で“犯人”の顔が入れ替わる構成でした。
・真犯人は車坂朝晴(演:松下洸平)。8年前、睡眠薬入りのジュースで汐路の父を眠らせ、親世代4人が亡くなる転落事故を起こした
・前半の植木鉢や蔵への閉じ込めは、父の死を「殺人」と思わせたかった汐路の自作自演
・動機は、狩集家・車坂家・真壁家が約150年守ってきた「鬼の掟」。鬼の容姿を持つ子孫を消し、秘密を暴こうとした親たちを口封じした
・結末では宮島の罠で朝晴が逮捕され、義家と真壁も連行。4人は真の子孫から親の贈りものを受け取る
遺産相続ミステリーの形をとりながら、描かれていたのは大人が子どもに落とす“セメントの跡”と、それを断ち切ろうとした親たちの物語です。蔵の名前や朝晴の相づちの意味を知ってから見直すと、序盤の会話がまったく違って聞こえます。
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